遠野で見るべきイベントNo.1?! 遠野小学校『遠野の里の物語』の裏側大公開! / 阿部満穂子
はじめまして、11月で遠野移住5ヶ月の阿部満穂子です。
遠野の魅力を発信している富川岳のアシスタントをしたり、遠野醸造でアルバイトをしたりしながら、遠野の魅力に取り憑かれる日々を送っております。まだまだ知らないことだらけですが、文化友の会の新米会員として、私が移住して一番感動した遠野のイベント『遠野の里の物語』について書きたいと思います。
2018年10月20日、今年の『遠野の里の物語』は行われました。
『遠野の里の物語』とは、遠野小学校の全校表現活動で、毎年遠野小学校の体育館で行われてきました。37年目の今年は、遠野市民センター大ホール(座席数はおよそ1000席!)で行われました。今年は私が所属しているto know※ もお手伝いさせていただきましたので、舞台の裏側では何が起こっていたのか、お伝えしたいと思います。
※to know…遠野の文化資源を活用し継承していくことを目的とした民間組織。2017年より始動。
https://www.facebook.com/toknowtono/
■『遠野の里の物語』とは
『遠野の里の物語』は、遠野小学校にて37年間続いている全校表現活動です。
全校表現活動は、いわゆる"学芸会"だったり"学習発表会"と呼ばれる日頃の学習を歌や劇で発表する時期に行われるものです。
多くの小学校は学年ごとに行うことが多いですが、遠野小学校は全校でひとつの作品を表現します。
しかも1年を通して練習をし、さらにその歌や踊りは代々ほぼ口承で行われてきました。それが37年間継承し続けられています。
37年間の間、校長先生も、先生も、もちろん小学生たちも入れ替わっていく中、それでも、37年間代々続けられてきているのがこの『遠野の里の物語』です。
■なぜはじまったのか
『遠野の里の物語』は、遠野に伝わる逸話・伝承等をまとめた本『遠野物語』を元に、高岡良樹さんという吟遊詩人がつくった『歌物語 遠野』が元となっています。
高岡良樹オンラインショップより
高岡さんが何度も遠野に通い、昭和55年に作られたのが、"歌物語 遠野物語" です。
しかし、2年後にはレコードも廃盤。
自分だけの『遠野物語』になってしまった、、、と高岡さんは落胆します。
ですが、物語は遠野で続いていました。
ちょうどレコードが廃盤した頃に遠野小学校の先生が高岡良樹さんの『歌物語 遠野』をみつけ、これを使い全校表現活動をすることを決めたのです。
そして、その頃の遠野小学校には音楽・体育ともにスペシャリストの先生がそれぞれ在籍しており、さらに当時の校長先生が柔軟な考えの持ち主だったため、この『遠野の里の物語』を行うことができたのです。
高岡さんが『歌物語 遠野』を制作したところから、遠野小学校の先生方、そして37年間続けられてきているという、すべての要因が合わさって行われてきた奇跡のような活動なのです。
■そして37年目の今年は
昨年、『遠野の里の物語』を見に行った to know の富川は激しく感銘をうけたといいます。その感動を伝えるべく、校長先生に会いにいった際に伝えられたのが、来年は市民センターで行うということ。富川がその際に伝えたのは
「ぜひ、to knowで協力させてください!」
ということでした。
ここから遠野小学校とto knowはタッグをくみ、様々なスペシャリストたちを巻き込みながら、アップデートした『遠野の里の物語』を1年かけてつくっていくこととなります。
デザイナーさんにこんなにかわいいチラシを作っていただき、
かわいすぎてTシャツも作成しました。
まだ購入できますので、気になる方はto knowまでお問い合わせください!(2018年11月現在)
スペインからダンサーさんに指導にきていただいたり
Lucia Vazquez Madridさん
世界を駆け回るアーティストさんに舞台美術を作成していただいたり
写真右:杉原信幸さん、写真中:中村綾花さん
まだまだ書ききれませんが、多くの方々にご協力いただきました!!
<ご協力いただいた方々>
デザイン:山崎喜一郎さん
イラスト:ヤマグチカヨさん
映像:三浦浩太さん
舞台美術:杉原信幸さん、中村綾花さん
舞台美術制作:一日市おかみさんの会、スペシャル着物縫いサポーターズの皆さま
当日撮影:中村隆一さん
演技指導:ルシア・バスケス・マドリードさん
コーディネート:レナータ・ピアッツァさん
運営サポート:及川敏恵さん、多田栄治さん
企画・プロデュース:富川岳
アシスタント:阿部満穂子
結果、37年目の『遠野の里の物語』は大成功で終えることができました。
そして、その日の夜に小学校の先生方と合同でお疲れ様会がありました。
そこで、わたしの知らない学校サイドの話を聞くことができました。
今までは欠席者が必ずいたため、本番前に行う総練習ですら全員そろうことは叶わなかったのに本番だけは全員そろって行うことができたこと、急な変更に文句を言いながらも完璧にやってくれる先生の話、1年目でわけもわからずかけぬけた新任の先生の話等、みんなで泣いて笑って終わったお疲れ様会でした。
37年目の『遠野の里の物語』は単なる遠野小学校の全校表現活動ではありませんでした。
遠野のまちのみんなで笑って泣いて、遠野がひとつになって行った活動でした。
実際にわたしも着物を100枚近く縫い合わせてつくった舞台美術の制作を通して、遠野の方々と仲良くなり、絆が生まれたように思います。
不審者だとか、個人情報だとか、すぐに問題になってしまうようなこの時代に、『遠野の里の物語』はわたしたちに、大切なことを教えてくれました。
すでに遠野小学校では"継承活動"という、1個下の学年に教える活動が始まっています。
そうやって続いてきた『遠野の里の物語』、今年見逃した方は、ぜひ来年見に行ってみてください。
小学生の力に圧倒されること間違いなしです。
友の会会員 阿部満穂子(to know)