「この遠野で暮らし、生きていく」ことを面白く/阿部和美

2019年春から、遠野市観光協会でスタッフとして働き始め、楽しい発見が多くあります。

 

日本人のお客様と海外からのお客様では、遠野での時間の過ごし方や楽しみ方が大きく違うというのは面白い発見です。

日本人は「とりあえず遠野へ来たけど、カッパは何処にいますか?」という質問からスタートします。私はカッパ淵や伝承園をご紹介することが多いです。外国人、特に欧米系の方々は、「日本の田舎」の景色を楽しみに、レンタル自転車でのサイクリングをする方がほとんどです。

春から夏は綾織の桜並木や田植えの田んぼの様子、秋は紅葉の遠野ふるさと村や、黄金色の田んぼや稲刈りの様子に感動して、戻ってきます。私にとっては日常の風景になっているランドセルを背負って通学する小学生や、「おはようございます」と観光客にも挨拶する高校生の姿にも、感動するようです。

私一人ではいくら考えてもわからない・気づけない「遠野の魅力」。この遠野に住む、私たち一人一人の毎日の営みこそが、遠野を訪れた人々に感動を与える風景・街並みを作り出しているのだと、気づかされたように思います。

遠野へUターンし仕事を始めた当時、私は正直「遠野は何もない、山の中の退屈なところ」と思っていました。その仕事を退職後、20184月よりto knowプロジェクトの「おもしろ遠野学」で、「遠野を学ぶ」というよりは、「遠野をおもしろがる」フィールドワークに参加し、私の考え方が大きく変わっていきました。「遠野っておもしろい、もっと知りたい」という気持ちがムクムクと湧き上がってきたのです。

 

毎回テーマ別に行われるフィールドワーク。私が一番印象に残ったのは、2018825日に行われた「遠野物語の序文の道を歩く・忍峠歩き」でした。

 

 

松崎町から忍峠を越え附馬牛町の菅原神社へ歩くコース。『遠野物語』の序文にある、柳田國男が遠野を訪れた際の道のりを辿り、菅原神社の例大祭では張山しし踊りをみました。「柳田國男も、このしし踊りを見たのだろう」と、参加した仲間と感動を共にした1日でした。

そして、フィールドワークのおもしろさを倍増させてくれるのは、それぞれの考え方や興味を語り合えるかけがえのない仲間たち。みんな違って、だからこそおもしろい!この仲間たちのおかげで、私は今後も「この遠野で暮らし、生きていく」ことを、おもしろがっていけると思っています。

 

遠野の仲間や、遠野を訪れた人々が教えてくれた「遠野の魅力」を、私は私なりの方法で、新たに遠野へ足を運んでくれる人々に、伝えていけたらと考えています。